発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006034951
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62歳男性.患者は近医で尿潜血陽性を指摘され,紹介受診となった.腹部エコーでは右腎上極に腫瘍を認め,腎癌が疑われた.心エコーでは右房内に心拍動で大きく振動する腫瘍を認めた.CTでは右腎に腫瘍と右腎静脈から下大静脈の横隔膜レベルまで静脈内腫瘤を認め,静脈造影では左総腸骨静脈は閉塞し,静脈血は左上行腰静脈を介して還流し,右総腸骨静脈は腎静脈合流部から末梢側は細く,中枢側は閉塞していた.開腹下に右腎・右腎上極腫瘍を一塊に切除し,体外循環下に右房内腫瘍を摘出,更に肝静脈合流部から末梢の腫瘍は下大静脈ともに切除,肝静脈合流部腫瘍は静脈壁との癒着を剥離して摘出した.術後のエコーでは肝静脈内に残存腫瘍を認めたが,追加手術不可能でインターフェロン療法後,術後86日目に退院となった.術後9ヵ月現在,腫瘍の増大傾向はあるが肝うっ血症状は認められていない
©Nankodo Co., Ltd., 2005