発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009052479
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68歳女。食思不振、全身倦怠感、顔面浮腫を主訴とした。近医を受診し、うっ血肝を指摘された。この時心エコー検査で右房内腫瘤性病変が認められ、手術目的で入院した。造影CTで右房から右室にかけて充満する80mm大の腫瘤性病変を認めた。明らかな肺梗塞像は認めなかった。心血管造影では腫瘤性病変が拡張期に三尖弁を越えて右室に大きく嵌入する様子が観察された。手術を施行し、その際の肺塞栓予防として右大腿静脈脱血のみで部分体外循環を確立した。その後に肺動脈を遮断、切開し、続いて上大静脈への脱血管挿入および上下大静脈の剥離操作を行った。その結果、安全に腫瘍摘出術が完遂できた。腫瘍の大きさは60×50×40mm、病理組織所見では間葉系細胞を含む粘液性間質に富んだ良性腫瘍で、右房粘液腫と診断した。術後経過は良好で、肝機能も改善した。現在外来経過観察中であるが、腫瘍の再発は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008