発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292648
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61歳女。胸部痛および咳嗽で近医を受診し、X線で右上肺野の腫瘤陰影を指摘され、PET-CTで右前胸部、右肺上葉、骨、左副腎に高吸収域を認めた。前胸部腫瘍の生検結果は腺癌で、免疫染色所見より乳癌あるいは肺癌の診断で化学療法を施行したが、見当識障害、構音障害が出現し、右頭頂葉の脳梗塞、左室内腫瘍を認め紹介受診となった。術前心エコーでは、後乳頭筋基部の心尖寄りに、有茎で可動性に富む径5mmと径3mmの腫瘤を認めた。胸骨正中切開で体外循環、心停止下に右側左房切開を行い、径5mmの内視鏡で僧帽弁越しに左室を観察したところ、前乳頭筋と後乳頭筋の間に9×4mmの腫瘍を認め、一塊に摘出した。迅速病理検査で断端に腫瘍組織の遺残はなく、同部を凍結凝固装置で凍結融解壊死させた。病理組織所見で少量の心筋組織とともにフィブリン、炎症細胞、中皮様細胞からなる組織を認め、腫瘍部はケラチン、ビメンチン陽性の明細胞癌で、最終病理診断は原発不明の転移性腫瘍(腺癌)となった。術後化学療法を開始したが、3ヵ月経過時点で突然死した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011