発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208432
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30歳男。13年前の交通外傷後に食道裂孔ヘルニアを指摘されていた。腹部膨満感が出現した。反跳痛を伴わない上腹部圧痛と左下肺野の呼吸音低下を認め、WBC、CRPは高値であった。X線にて心胸郭比(CRT)46.6%で左胸水貯留と脊柱側彎を認め、CTにて左横隔膜ヘルニアが存在し、胸腔内への胃の脱出を認め、横隔膜ヘルニアによる胃嵌頓として緊急手術を行った。多量の胸水と著明な癒着のため開胸に移行したが、左腱中心に存在する小さなヘルニア門から胸腔内へ胃と大網が嵌頓しており、胸腔側から腹腔内への還納が不能であったため、開腹が必要と判断した。ヘルニア門を切離開大して脱出部臓器を還納した後、胃全摘を施行し、ヘルニア門は胸腔側から直接閉鎖した。術後経過は良好である。
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