胸部・気道損傷の治療
横隔膜の損傷 外傷性横隔膜ヘルニア
磯和 理貴
1
,
菊地 柳太郎
,
小鯖 覚
1松江赤十字病院 呼吸器外科
キーワード:
横隔膜ヘルニア-外傷性
,
開胸術
,
内固定法
,
鈍傷
,
胸腔ドレナージ
,
胸部CT
Keyword:
Fracture Fixation, Internal
,
Hernia, Diaphragmatic, Traumatic
,
Thoracotomy
,
Wounds, Nonpenetrating
pp.1023-1026
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007020972
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外傷性横隔膜ヘルニアの2例を経験した。症例1は21歳の男性で、普通乗用車の助手席に乗車中に交通外傷を受傷し、左胸痛、左大腿部痛を訴え、他院に救急搬送され、左多発肋骨骨折、外傷性血気胸、左大腿骨頸部骨折の診断にて入院加療を受けたが胸腔ドレーンの留置にて左横隔膜の挙上が改善せず紹介転院となった。胸部X線写真及びCTから左外傷性横隔膜ヘルニアと診断し、緊急手術を行った。背側から横隔膜腱中心の方向に約10cmの横隔膜断裂が認められ、胃体部と大網の一部が胸腔内に脱出していた。これらを還納し、非吸収糸を用いて水平マットレス縫合により断裂部を閉鎖した。その後、整形外科医による左大腿骨頸部骨折の観血的固定術が行われた。術後8日に胸腔ドレナーンを抜去し、整形外科に転科して術後25日に退院した。症例2は66歳の男性で、作業中に高所から落下して受傷し、左胸痛、腹痛、頸部痛、左股関節痛、呼吸困難を訴え、胸部X線所見で左横隔膜挙上と左肺野全体の透過性低下が認められ、胸部CTとの所見をあわせて左外傷性横隔膜ヘルニアと診断し、緊急手術を施行した。胃体部が胸腔内に脱出しており、これを還納し、非吸収糸を用いて水平マットレス縫合により断裂部を閉鎖した。肺に損傷はなく、胸腔内を洗浄し手術を終了した。術後、左血性胸水を認めたが、胸腔ドレナージにて改善した。
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