発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208430
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68歳男。9年前に腎癌(淡明細胞癌G2>G1、pT3aN0Mx)で左腎摘を施行した。半年前より咳嗽発熱が出現し、1ヵ月前からの呼吸困難と発熱で近医により腎癌肺転移と診断され、当院紹介受診となった。X線により左肺野に広範な硬化像を認め、CTにて左下葉は完全無気肺、下葉支中枢部に突出する腫瘍陰影を認めた。気管支鏡により左下葉支を完全に閉塞する腫瘍を認めた。生検で淡明細胞癌が検出された。以上の所見から、緩徐発育型の腎癌肺転移と診断し、左下葉切除+気管支楔状切除+形成術を施行した。リンパ節には1群+αの郭清を行った。腫瘍はポリープ状で左B6入口部の気管支転移巣より気管支内に進展し、気管支内を主体に肺実質内に浸潤し、5.3×3.1×5.2cm大、気管支断端は陰性であった。病理所見では腫瘍細胞は明るい胞体を持ち血管のネットワークに分画されながら増殖していたがリンパ節転移は認めなかった。術後5ヵ月に吻合部近位の転移巣からの出血と、さらに右肺への多発転移を認め、インターフェロン療法を予定した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008