発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007114056
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58歳男、乾性咳嗽を主訴とした。喫煙歴は15年で23年前に禁煙した。近医で左下葉肺炎と診断され抗生物質を投与されたが改善しなかった。当科入院時、聴診にて左下肺野の呼吸音低下を認め、肺機能検査で拘束性換気障害を認めた。胸部X線にて左下葉の無気肺を、造影CTにて左主気管支の一部と下葉枝を閉塞する腫瘍を認めた。気管支鏡にて左主気管支の内腔をほぼ完全に閉塞する乳黄色の腫瘤を認めた。経気管支生検にて壊死物質とAspergillusの菌糸を認め、悪性細胞は認めなかった。左下葉切除を施行し、術中迅速診断は良性間葉系腫瘍であった。切除標本は乳黄色充実性、弾性軟で一部出血壊死を認め、左下葉気管支から主気管支に突出していた。病理組織学的に短紡錘型の核を持つ細胞が柵状に増生したAntoni Aの領域と、嚢状に変性して出血したAntoni Bの領域が混在する神経鞘腫と診断した。術後itraconazoleを6ヶ月間投与した。術後4年4ヵ月の現在、再発の徴候はなく外来で経過観察中であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007