発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208429
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50歳女。約半年前より労作時の動悸、息切れを自覚し、1週間前より症状の増悪と眩暈も出現したため近医を受診し、左房内腫瘤を指摘され、手術目的で紹介入院となった。聴診で拡張期雑音を聴取したが収縮期雑音は聴取せず、X線にて中等度の心拡大と肺血管陰影の増強を認めた。心エコーにより左房側に茎を有する60×38mmの腫瘤を認めた。腫瘤は拡張期に変形して左室腔内に入り込み、収縮期に左房内に僧帽弁を塞ぐように戻る移動運動を繰り返した。腫瘍は卵状一部房状で粘液腫と思われ、僧帽弁閉鎖不全は認めなかった。以上の所見から、巨大左房粘液腫と診断し、腫瘍の僧帽弁口嵌頓を危惧し緊急手術を行った。完全体外循環下の左側左房切開で心房中隔に約10mmの茎を有するゼリー状で一部ブドウ房状を呈した腫瘍を、心内膜を付けて摘除した。高度僧帽弁逆流を認めたが弁尖、腱索に異常はなくCarpentier-Edwards Physioringを用いて僧帽弁形成術を行った。病理所見では異型に乏しい短紡錘形から多稜形細胞の増殖を認め、粘膜腫所見を示した。術後経過は良好で僧帽弁閉鎖不全はごく軽度で術後18日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008