発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208427
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1歳、女児。生直後より軽度のチアノーゼを認め、他院小児科で心エコーにより肺動脈閉鎖を伴ったFallot四徴症と診断され、Alprostadil(リポPGE1)を開始、日齢15日に精査目的で当院入院となった。X線にて心胸郭比(CTR)66%、肺血管陰影が減弱しており、心エコーでは順行性の肺動脈血流は描出されず、肺動脈径は左4.4mm、右3.8mmであった。心カテーテルにて肺動脈血流は動脈管に依存しており、右鎖骨下動脈が下行動脈より起始していた。右鎖骨下動脈起始異常および起始部での狭窄が疑われ、左肺動脈の形態上、左右短絡術は困難と判断して、生後40日目に姑息的右室流出路形成術を行った。体外循環の確立後に動脈管は結紮し、人為心室細動下に右室流出路から主肺動脈まで切開した。弁構造は認めるが右室との交通はなく弁輪は低形成であったため、弁下組織とともに切除して、ウマ心膜パッチ12×20mmを用いて右室流出路を形成した。術後、肺動脈は良好に造影され右室流路を形成した。術後のカテーテルより両側の肺動脈は良好に造影され、右室流路血流は良好で、肺体血流比(Qp/Qs)1.5であった。肺血流の増加が残存しているが肺高血圧は認めていない。術後36日目に退院して現在根治術待機中である。
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