発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148984
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66歳男。胸痛を主訴に近医を受診し、心電図、血液検査所見より急性心筋梗塞(AMI)が疑われた。緊急冠状動脈造影にて左冠状動脈主幹部(LMT)90%、左前下行枝(LAD)#6 99%によるAMI、および陳旧性心筋梗塞(右冠状動脈(RCA)#2 100%、左回旋枝#11 100%)の診断であったが、閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する血行再建術が予定されており、大動脈内バルーンパンピング(IABP)挿入不能との判断で経皮的冠状動脈形成術(PCI)は断念された。当科搬送後、手術室入室時には心原性ショックの状態であったが、右大腿動脈が触知可能であったため血管造影を行った。結果、左総腸骨動脈は完全閉塞しており、右総腸骨動脈に90%狭窄を認めるものの、経皮的血管形成術(PTA)可能と判断した。ただちにPTAを施行後、IABPを留置し、血行動態の安定を得てoff pump冠状動脈バイパス術(OPCAB)(左内胸動脈 to LAD#8)を施行した。第24病日の術後造影でグラフトの開存が確認され、その後RCAおよびLMTに対するPCIが施行された。検索の範囲において、ASOを有する症例に対しPTA後にIABPを留置しOPCABを施行した初めての報告であった。
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