発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148976
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60歳男。検診にて胸部異常陰影を指摘され、精査・加療目的で来院した。胸部CTを施行したところ左下葉に2個、右上葉に2個、右中葉に1個、計5個のスリガラス状陰影を認め、その他右S10にも小さな淡い陰影がみられた。全身検索にてその他異常所見は認めず、臨床上多発肺癌を疑い外科的切除を行った。まず左側病変に対しS6区域切除+ND1を行い、後日右側病変に対し中葉切除+ND1ならびに上葉部分切除を施行した。病理組織学的所見にて左側病変は腺癌でNoguchi分類のtype Aとtype B、右側病変も腺癌で上葉がtype Aとtype B、中葉がtype Aであった。いずれもリンパ節転移は認めずp-T1N0M0、stage IAであった。初回CTにて認められた淡い右S10病変は初回手術後3年の経過で徐々に増大し、FDG-PETでも陽性を示したため、右下葉切除+ND2aを行った。病理組織学的所見にてこの病変は高分化乳頭型腺癌で、リンパ節転移は認めずp-T2N0M0、stage IBであった。最終手術から1年経過現在、再発徴候は認められない。
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