発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148977
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症例1:34歳男。作業中に700kgの鉄板の下敷きとなり、当院へ救急搬送された。来院時にはショック状態にあり、心エコーにて心タンポナーデと判明した。胸腔圧迫による心破裂の診断で緊急開胸手術を施行、心膜切開により心嚢から血液が噴出し、心タンポナーデが解除され、血圧が上昇した。心臓前面に多量の凝血塊が認められ、凝血塊除去後に心嚢内を検索すると、下大静脈と右房との接合部に出血点と思われる亀裂様の変化を認めたが、明らかな出血は無かった。フィブリン糊などで同部位に補強のみ行い、術後経過は良好であった。症例2:63歳女。バイク運転中に乗用車と衝突し、当院へ救急搬送された。来院時には血圧低下がみられ、心エコーにて心タンポナーデと診断した。手術室で心嚢内ドレナージを行い血圧の上昇がみられたが、凝血塊が除去された後に急激な出血をきたし、緊急開胸手術を施行した。手術所見にて下大静脈と右房との接合部に母指頭大の亀裂がみられ、噴出性の出血を認めた。同部を縫合閉鎖して止血し、術後経過は良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008