発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146457
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78歳女性。13年前に他院にて二弁置換術(両弁とも機械弁)を受けたが、胸部正中切開創の下端の約1cmの創し開に気付き、淡黄色・漿液性の滲出液がみられた。血液検査で特に異常はなく、滲出液の培養は陰性であった。瘻孔造影所見で前縦隔内上行大動脈から心窩部に不整な凹凸を認め、胸部CT所見では前縦隔内に高輝度の陰影、およびその周囲に瘻孔を原因とするair spaceがみられた。以上より縦隔内異物が疑われ、また放置した場合逆行性感染による縦隔炎の発症が危惧されたため、全身麻酔下に手術を施行したところ、前回手術時に心膜補填に使用したと思われるePTFEシートを確認した。これを摘出し、周囲の不良肉芽を鋭匙で掻爬し、創内を良く洗浄した後にドレーンを留置し、一期的に閉創した。摘出標本所見にて、ePTFEシートは黄白色調で、不良肉芽が多数付着していた。術後経過は良好で第16病日に軽快退院し、術後2年以上経過現在、再発は認められない。病因としてePTFEシートに対する生体の異物反応が考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008