胸壁・横隔膜の手術-その1 胸壁再建法
胸壁悪性腫瘍に対するePTFEソフトティシュパッチを用いたnon-rigid再建法
対馬 敬夫
1
,
小渡 亮介
,
木村 大輔
,
境 雄大
,
畑中 亮
,
山田 芳嗣
,
皆川 正仁
,
福田 幾夫
1弘前大学 胸部心臓血管外科
キーワード:
Polytetrafluoroethylene
,
胸部外科
,
胸部腫瘍
,
外科用メッシュ
,
治療成績
,
胸壁
Keyword:
Polytetrafluoroethylene
,
Surgical Mesh
,
Thoracic Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Thoracic Surgical Procedures
,
Thoracic Wall
pp.49-53
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014106929
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1996年6月~2012年12月の間に切除術を行った胸壁悪性腫瘍26例中、ソフトティシュパッチを再建に使用した20例(男性15例、女性5例、年齢18~80歳、平均年齢59歳)の成績について検討した。1)対象の疾患は原発性腫瘍では軟骨肉腫3例、悪性線維性組織球腫(MFH)1例で、転移性腫瘍では肺癌3例、腎癌2例、乳癌・骨肉腫・悪性リンパ腫各1例、胸壁浸潤では肺癌5例、乳癌・MFH・悪性リンパ腫各1例であった。2)骨性胸壁の切除範囲は術前CTなどの画像を参考に直接的には開胸手術時の肉眼所見によって切除縁を決定した。19例で1~4肋骨(平均2肋骨)を切除し、胸骨のみ切除は1例、全例の胸壁欠損面積は20~210m2(平均69.8cm2)であった。3)腫瘍の局在は前胸壁10例、側胸壁5例、後胸壁5例で、平均手術時間は337分、出血量は578.6mlであった。4)術後に胸壁動揺や呼吸不全、感染症などの重篤な合併症はみられず、疼痛も軽微であり、胸腔ドレーン留置が遷延した症例もなかった。5)手術単独で退院した17例の術後入院期間は平均24.6日であったが、局所再発は軟骨肉腫の1例でみられ、術後3回の再発を来した。尚、全例の平均観察期間は72.7ヵ月で10例が再発を来し、術後5年生存率は61.0%であった。以上より、ePTFEソフトティッシュパッチは手術操作の簡便性、長期の耐久性の点で有用な再建材料と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014