発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007228163
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54歳男性。咳嗽、発熱を主訴とした。胸部異常陰影と右胸水貯留を指摘され、肺化膿症として紹介受診となった。胸部単純X線およびCT所見にて、右S6に空洞形成を伴う大きな腫瘤陰影と、左S1+2とS10に腫瘤陰影を認めた。血液生化学所見ではCRPおよびIgEが高値であった。その他異常は認めず、C-抗好中球細胞質抗体(ANCA)、P-ANCAとも4回検査したが、陰性であった。右の病巣のドレナージ、後には開窓術を施行したが、一般細菌、真菌、結核菌など陰性で、虫卵や悪性細胞もみられず、組織診でも確定診断には至らなかった。診断および治療のため左肺病変部の切除術を施行、病理組織所見にてWegener肉芽腫症(WG)と診断された。Prednisolone、cyclophosphamide、およびST合剤による治療を開始し、増悪していた右病変部は速やかに改善した。術後7ヵ月で退院となり、外来通院中である。ANCAが陰性でもWGを鑑別の中に含め診断を進めていくことが重要と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007