発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007228160
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71歳男性。背部と頭部を打撲し、救急搬送された。胸部単純X線で縦隔陰影の拡大および左第5肋骨骨折を認めた。造影CTでは下行大動脈に解離様の動脈瘤形成を認め、後縦隔に血腫を認めた。また左肺に軽度の肺挫傷を認めた。以上より鈍的外傷による胸部大動脈損傷と診断し、緊急にステントグラフト留置術を施行した。右上腕動脈よりガイドワイヤーを右大腿動脈に誘導し、少量の全身ヘパリン化(3000IU)の後、右大腿動脈を切開しガイドワイヤーを取り出しtag of wire法にて、20Frのシースにマウントされた28mm径、11cm長(カバー部分10cm)のステントグラフトを動脈瘤部に留置した。術後11日目のCTで瘤の血栓化、縮小を認め、術後4ヵ月目のCTではほぼ消失していた。外傷性胸部大動脈損傷に対するステントグラフト留置術は、その低侵襲性から有用な治療法の一つで、第1選択の治療法となる可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007