発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013095092
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48歳女。左下肢痛および左腓腹筋間欠性跛行を主訴とした。初診時、左総大腿動脈以下の拍動は触知せず、右足関節上腕血圧比は測定不能であった。血液検査で凝固系の亢進を認め、心電図では心房細動を認めなかった。胸腹部CT(CTA)にて大動脈内に多発する不整な血栓、左外腸骨動脈から左総大腿動脈の血栓性閉塞、左浅大腿動脈・深大腿動脈と右膝窩動脈に浮遊血栓を認めた。以上より、両下肢多発性塞栓を伴う胸腹部大動脈内血栓症と診断した。6ヵ月間の抗凝固療法により大動脈内血栓がほぼ消失したため手術を行った。左総大腿動脈から浅大腿動脈・深大腿動脈にかけて縦切開し、内腔の血栓内膜摘除、Fogartyカテーテルを用いた中枢側の血栓除去を行った結果、良好な血流を得られた。術後のCTAでは左総腸骨動脈から総大腿動脈の開存は良好であり腓腹筋痛は改善した。
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