発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264351
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症例は42歳男性で、1年前に意識消失があり、高度大動脈弁閉鎖不全症を指摘された。歯肉の腫脹と疼痛および発熱で受診した。血液培養からグラム陽性球菌(α-Streptococcus)を分離し、経食道心エコー(TEE)で大動脈弁無冠尖に疣贅を認めたため、感染性心内膜炎(IE)と診断した。アンピシリン水和物、ゲンタマイシン硫酸塩を1ヵ月間点滴投与し、軽快して退院した。経胸壁心エコー(TTE)で僧帽弁前尖に弁瘤および穿孔を認めた。TTEでは、大動脈弁は三尖で、右冠尖の逸脱を認めた。高度大動脈弁逆流(AR)で、ジェットは僧帽弁前尖方向に吹き、前尖の開放制限をきたしていた。僧帽弁は前尖A1とA2の2ヶ所が左房側に膨隆し、同部位より軽度の僧帽弁逆流を認めた。頭部MRIでは、感染性動脈瘤はなく、左椎骨動脈瘤を認めた。前尖2ヶ所の瘤を含めた変性組織を摘除し、自己心膜を使用して弁形成を行った。術後TTEでMRおよび疣贅の消失を確認した。経過良好で術後25日目に退院した。術後3年6ヵ月となる現在も外来通院し、TTEでMRは軽度であった。
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