発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007114068
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69歳女、心エコー上異常陰影を主訴とした。呼吸苦が出現し、近医の心エコーにて心嚢液の著明な貯留、左房内腫瘍を認めた。心タンポナーデによる心不全と診断し、エコーガイド下穿刺法にて心嚢液のドレナージを行い症状は改善した。血液検査にて甲状腺機能低下による心嚢液貯留と診断し、内服治療にて甲状腺機能は改善した。左房内腫瘍の手術目的で当科紹介となった。胸部X線では心胸郭比57%であった。脳MRIにてラクナ梗塞をわずかに認めた。経食道心エコーで僧帽弁後尖の前交連寄りの左房室面に7×9mm大の腫瘍を認め、大動脈弁逆流II度、僧帽弁逆流I度であった。腫瘍切除とMcGoon法による弁形成を行った。腫瘍は約1cm大の黄~橙色のゼリー状で容易に潰れるものであった。病理組織学的にイソギンチャク様形態を呈し、表面は心内膜から連続した1層の膜であり、内部は血管の乏しい線維弾性組織を認め、乳頭状線維弾性腫と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2007