発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000781
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83歳女。左下肢脱力を主訴とした。血液検査でトロポニンIの上昇、心電図ではV2~4でST上昇を認めた。経食道心エコーでは左室前壁から心尖部にかけて壁運動低下があり、大動脈右冠尖直下の左室流出路に10×6mm大の可動性のある腫瘍を認めた。心臓カテーテルでは左前下行枝に99%狭窄を認めたが、塞栓症を示唆する所見はなかった。大動脈弁下腫瘍に関しては乳頭状弾性線維腫が疑われ、外科的手術が必要と判断した。また、その他所見から急性冠症候群の合併と診断した。早急に血行再建が必要であるものの、カテーテル操作により腫瘍塞栓を起こす可能性があるため、冠状動脈バイパス術を合わせて行う方針として緊急手術を行った。人工心肺下に有茎性の腫瘍を切除し、心拍再開後に左内胸動脈-左前下行枝のバイパスを行った。病理診断は乳頭状弾性線維腫であった。術後18日に軽快退院した。
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