発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005055345
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63歳女.20年前に直視下交連切開術を施行され経過観察されていた.今回,労作時呼吸困難が出現し心エコー所見で僧帽弁狭窄症の再発が確認され,手術目的で入院となった.入院時心エコー所見では左室駆出率は61.1%で,僧帽弁は弁下組織を含め石灰化・癒合・短縮がみられ,Seller分類II度の逆流を伴っており,中等度の三尖弁閉鎖不全を合併していた.以上の所見から,僧帽弁狭窄症・大動脈弁乳頭状弾性線維腫または感染性心内膜炎による疣贅の術前診断にて手術を施行した.術中所見では僧帽弁の肥厚が著しく鋳型状で,人工弁置換術を施行し,三尖弁はDe Vega法にて弁輪縫縮した.大動脈を斜切開したところ大動脈弁は三尖で器質的変化は認めず,左冠尖交連寄りの自由縁側に有茎性の約5mm大の乳頭状腫瘤を認め,弁を温存して腫瘍のみを根部から切除した.切除標本の病理組織学的所見から本症例は乳頭状弾性線維腫と診断され,心エコー上腫瘍の残存はなく,術後14日目に軽快退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2004