発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007114057
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64歳男、倦怠感、胸苦、間欠跛行、疲弊状態を主訴とした。陳旧性心筋梗塞、胃潰瘍に対する胃部分切除術、糖尿病の既往があった。無収入で10日間きちんと食事をとっておらず、ぐったりしていたところを隣人の通報から救急搬送された。入院時、るい痩状態で皮膚は乾燥し、右大腿動脈は拍動を触知しなかった。心エコーにて前壁中隔の壁運動低下を認め、左室駆出率は46%であった。核医学所見にて前壁心尖部の灌流低下を認め、造影CTにて腹部大動脈は上腸間膜動脈レベルで限局性の解離を認め、腎動脈分岐直下で完全閉塞を認めた。冠状動脈造影にて左前下行枝は#6入口部で完全閉塞し、両側の内胸動脈(ITA)はよく発達し、大腿動脈までの側副血行路を認めた。Hグラフトを用いた低侵襲血行再建術を行い、術後10日に下肢血行再建術、右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術を行った。術後、両足背動脈は触知可能となり、3-D CTにてグラフト開存、吻合部の良好な形状を認め、初回手術より24日で自宅退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2007