発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313884
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53歳女.患者は咳嗽を主訴に前医を受診,左下肺野の異常陰影を認め,抗生物質を投与されるも症状は改善しなかった.胸部単純CT,気管支鏡検査,生検では確定診断に至らなかったが,胸部MRIおよびMRAでは胸部下行大動脈から分枝し,分画肺に流入する動脈が描出された.肺分画症を考え,第6肋間開胸下左下葉切除術を施行した.病理組織学的所見では分画肺は下葉の臓側胸膜内に存在し,流入動脈は横隔膜側より分画肺からS6に分布し,Pryce分類II型の肺葉内分画肺症と診断された.尚,本症例は手術に至るまでの2ヵ月間,血清CEAが6.8ng/mlから9.6ng/mlに上昇し,術後正常値に低下した.嚢胞性病変はなく,免疫組織化学染色で炎症によって改築された細気管支上皮の表層部に軽度の陽性所見を認めたことから,慢性炎症による上皮細胞での産生亢進や改築による逸脱等が血清CEA上昇の機序と推測された
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