特集 胸部の最新画像情報2017
症例
奇静脈への還流を認めた乳児肺葉内分画症の1例
木下 雄介
1
,
増田 裕
,
本谷 啓太
,
横山 健一
,
黒木 一典
,
似鳥 俊明
,
藤原 正親
,
管間 博
1杏林大学 医学部放射線医学教室
キーワード:
気管支肺分離症
,
奇静脈
,
胸部X線診断
,
肺切除
,
CT血管造影
,
奇静脈造影
,
胸部CT
Keyword:
Computed Tomography Angiography
,
Azygos Vein
,
Bronchopulmonary Sequestration
,
Pneumonectomy
,
Radiography, Thoracic
pp.203-208
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2017142936
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症例は生後2ヵ月男児で、胎児期より超音波検査にて左肺下葉の嚢胞性病変を指摘された。出生後、嚢胞性病変に対して精査を施行した。画像所見では、左下肺野縦隔側に約30mm大の境界明瞭な透過性亢進を認め、気腫性嚢胞を疑った。左下葉S10に相当する領域に約24mm大の嚢胞性病変を認めた。嚢胞は正常気管との交通は明らかではなく、周囲には無気肺と考える境界明瞭なconsolidationを認めた。CT angiography(CTA)では下行大動脈から流入する供給血管があり、還流血管は奇静脈であった。腹部に明らかな合併奇形はみられなかった。画像所見から肺分画症と診断し、左下葉切除術を施行した。病理診断は肺葉内分画症であった。病変周囲に明らかな二次的炎症や線維化はみられなかった。術後約3年経過した現在、呼吸状態や発達に問題なく良好に経過している。
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