発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116832
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20歳男。患者は生後2ヵ月から肺炎を繰返し、18歳頃からは時々胸部圧迫感を自覚していた。今回、この圧迫感が強くなり近医を受診、精査で右肺異常影を指摘され、肺分画症と診断され、著者らの施設へ転院となった。胸部X線では右中下肺野右心第2弓近くに肺炎を思わせる浸潤影が認められ、CTでは右肺下葉に瀰漫性に嚢胞状の変化、および末梢に位置する異常血管を認めた。また、肺動脈造影では右下肺野の無血管領域と、大動脈造影で横隔膜直上から分岐する異常血管を認め、肺血流シンチグラムでは下肺に一部欠損像を認めた。以上より、Pryce分類III型と思われる肺葉内肺分画症と診断され、低侵襲を考慮した胸腔鏡補助下の右肺下葉切除術が施行された。その結果、下行大動脈から分岐した異常血管はテーピングを行った後、自動縫合器で安全に切離が可能であった。更に摘出標本は分画肺と胸膜下に存在した正常肺との境界は不明で、下葉は嚢胞性変化が著明であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007