発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313882
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50歳男.患者は心房細動および心不全で入院し,その後の定期検診で胸部異常陰影を指摘された.胸部CTでは右前胸壁,第3肋骨を中心に長径約3cmの腫瘤を認め,病理組織所見では腫瘍は軟骨様組織が主体で,明らかな細胞異型はなかったが一部で壊死を認め,肋骨原発軟骨腫あるいは軟骨肉腫と診断された.施術となり,腫瘍辺縁から3cm離して第3,4肋骨と第3肋間筋ともに摘出した.肋間筋から外側への発育は認めず,胸壁欠損は長径9cmとなったため二重にしたプロリンメッシュで再建した.病理組織所見では腫瘍は線維性被膜に包まれた軟骨性で,個々の軟骨細胞は核の腫大や二核細胞をみる等,細胞異型を示していた.細胞密度も高く,軟骨肉腫grade 2と診断された.肋骨の一部に浸潤性発育を認めたが,切除断端に悪性細胞は認めなかった.術後経過は良好で,25ヵ月経過現在,再発徴候はみとめられていない
©Nankodo Co., Ltd., 2006