発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313878
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26歳男.患者はCrohn病で腸切除術,中心静脈カテーテル(CVC)留置を施行された.その後,吻合部狭窄による腸閉塞が生じ,バルーン拡張術が施行された.この時,胸部X線上異常陰影を指摘された.形状から以前のCVC断片と判断され,経皮的に除去を試みたが不可能であった.胸部3次元CTでは,CVC断片は左右の肺動脈に存在し,右側は途中で反転し,先端はA2に迷入していた.胸腔鏡補助下手術に除去を試みたが,血管内壁に強固に癒着しており除去不可能であった.以後,患者は輸血することなく,術中・術後を通して特に合併症も来さず退院となった.術後から4年経過現在,定期的に経過観察しているが,著変は認められていない.以上,Pinch-off syndromeのCVC断片は重篤な合併症の原因となるため基本的には摘除が望ましいが,本症例のような可動性のなくなった断片は合併症を起こす可能性はほとんどなく,あえて摘除する必要はないと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2006