発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313877
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63歳男.患者は意識消失で他院に救急搬送された.意識はすぐに回復したが,低酸素血症を呈していた.胸部造影CTでは右肺動脈を占有する血栓を認め,加療を受けたが肺動脈内血栓に変化がなく転院となった.更に肺動脈造影所見では右肺動脈上葉枝,左肺動脈下行枝に陰影欠損を認めた.Heparin sodium,urokinaset持続投与を行うもSpO2が88~89%と低酸素血症を持続,慢性肺血栓塞栓症に移行する可能性を考慮し,手術を施行した.手術方法は,胸骨正中切開でアプローチし,体外循環を確立した後に肺動脈を切開し,血栓を直視下に除去した.また発症から2週間以上経過していたことから,肺動脈壁と血栓の癒着が強固である可能性を考え,超低体温循環停止下の肺動脈血栓内膜摘除術に術式変更できる準備を整えていたが,癒着は軽度で常温体外循環を用いて心拍動下に手術を遂行できた.術後は経過良好で,第24病日目に退院となった.尚,退院時のSpO2は室内気で96%であった
©Nankodo Co., Ltd., 2006