発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302218
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69歳女.血液・生化学検査では高脂血症が認められ,腫瘍マーカ-ではCEA 11.6ng/mlと上昇を認めた.X線で右下肺野横隔膜に接する約3cm大の陰影,CT所見では右S9~S10胸膜直下に約3cm大の造影効果のある腫瘍が認められnotchの形成もみられた.喀痰細胞診および気管支鏡検査でClass IIであったためCTガイド下生検を行いClass V腺癌と診断され原発性肺癌の診断のもと手術を行った.右胸腔には胸水・胸膜播種もなく周囲のリンパ節の腫瘍や周囲臓器への浸潤も認めなかった.腫瘍は右下葉S9~S10胸膜直下に存在し軽度膨張を認めたため右下葉切除およびリンパ節郭清(ND2a)を施行した.境界明瞭な白色分葉状,充実性で弾性硬の腫瘤で35×34×29mm大であった.病理所見は好酸性微細顆粒を有する多角形の腫瘍細胞がシート状包巣を形成しながら増殖しており円柱状で明るい胞体を有する腫瘍細胞が胎児肺の腺管に類似する管腔を形成しながら増殖していた.しかし,典型的なmorulaや胎児型の間質の増殖は見られなかった.以上より,1yO,vO,pmO,pO,pT2NOMO,IB期と診断した.術後腫瘍マーカーCEAは2.2ng/mlと改善し,第37病日に退院し,術後1年現在再発は認められず化学療法施行中である
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