発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302219
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45歳女.呼吸困難が出現し胸部X線像上異常陰影は確認できなかったが,喉頭高圧頸部X線像で気管に約10×10mm大の辺縁不正な腫瘍陰影,CT所見で12×12×10mm大の気管左側壁より気管内腔に突出する限局したポリープ状の病変を認めた.気管支鏡検査で声帯より約2cm尾側の気管左側壁に広基性の易出血性で表面平滑,境界明瞭で正常粘膜に覆われたポリープ状病変を認めた.病変は可動性良好で呼吸に伴い移動し,呼気時には気管内腔をほぼ完全に閉塞していた.生検は手技に伴う出血の危険性を考慮し施行せず,確定診断・気道確保・腫瘍からの出血コントロールを目的として全身麻酔下硬性気管支鏡下で腫瘍切除を行った.腫瘍性病変を確認し,硬性気管支鏡の端を利用した核出により腫瘍を切除し一部残存した腫瘍基部は鉗子で把持し摘出,もしくはレーザーで焼灼した.切除断端からの出血もNd-YAGレーザーで焼灼して止血した.腫瘍は12×12×10mm大,黄色調,分葉状で粘膜をかぶった軟らかい腫瘍であった.病理組織では線維芽細胞ないし線維芽細胞様紡錘形細胞の増殖からなる腫瘍で扁平上皮化生を起こした気管粘膜で覆われており,腫瘍内にはリンパ球,形質細胞などの炎症細胞の浸潤を認めた.腫瘍細胞の核異型は弱いが一部細胞分裂を認め,免疫組織化学的特殊染色で筋原性マーカーα-SMAのごく一部とcalponinが陽性を示し,細胞増殖能を示すMIB-1と癌抑制遺伝子のp53に腫瘍細胞の一部が陽性を示したことから真の腫瘍性病変であることが示唆された
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