発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302217
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73歳男.バイク運転中,鉄柱への衝突で前胸部の打撲により胸痛と軽度の呼吸困難を訴えた.胸骨を中心として広範囲に動揺胸郭を呈し右第10,11肋骨背面に骨折を認めたが全身状態も安定していたため,バストバンドを装着して保存的に経過を見ることにした.第4病日朝より喘鳴の出現とともに呼吸困難が増悪し末梢血のWBC,CRPが増加し血液検査所見も悪化したため肺炎に伴う呼吸不全と診断した.気管内挿管および人工呼吸を開始し,右気胸増悪のため右胸腔ドレーンを留置した.著明な喀痰貯留,人工呼吸器管理の長期化の予想のため気管切開を行った.喀痰培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を検出,抗生物質sulbactam,ampicillinを10日間投与して陰性化しWBCも正常化した.第8病日からは持続気道内陽圧(CPAP)とし,ベッドサイド座位保持訓練などの理学療法を開始し第10病日にはCPAPのまま立位,歩行訓練が行えるほど回復し,この間の疼痛対策としてはfentanylの静脈内投与を行っていた.15病日より人工呼吸器の離脱訓練と経口摂取の開始,第17病日には人工呼吸器からの完全離脱,第18病日に一般病棟へ転室,第26病日には動揺胸郭の消失を認め第31病日に退院した
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