発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005251884
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70歳女.肺癌および肺結核合併の診断で抗結核薬投与と右上葉切除を施行され,病理診断は中分化型乳頭状腺癌で,胸膜浸潤,肺内転移はなかった.化学療法終了後も月1回経過観察し,肺野に異常所見はなく,CEAは3.0ng/ml以下であった.しかし,術後4年目に咳嗽,胸背部痛,喘鳴が出現し,その後全身倦怠感と呼吸困難,血圧低下,酸素飽和度低下を来たした.心エコーで多量の心嚢水貯留と著明な右室の拡張期虚脱を認め,緊急心嚢ドレナージで1290mlの血性心嚢液を排出し,呼吸困難,血圧は改善したが,細胞診は腺癌class Vで,CEAは188.8ng/mlであった.肺内に肺癌所見は認めず,他臓器にも異常はなかった.再発肺癌による心タンポナーデと診断し,心嚢水減少後にtetracyclineによる心膜癒着術を行い,全身化学療法を開始した.その結果,心嚢水の再貯留はなく,収縮性心外膜炎も生じなかったが,7ヵ月後に消化器症状が出現し,全身衰弱で死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2005