発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006157060
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Patient-prosthesis mismatch(PPM)と左室拡張機能障害(DHF)の観点から,大動脈弁手術の適応,成績および遠隔期での左心機能に及ぼす影響について検討した.対象は連続53例で,平均年齢69.4歳であった.大動脈弁疾患に対するPPM発症率は13%程度であり,そのほとんどが有効弁口面積指数0.65cm2/m2超の中等程度のPPMで,術後早期,遠隔期における心事故,心死亡には中等度のPPMの関連を認めなかった.高度DHFを有する症例では,一見術後症状の改善がみられたようでもBNPの高値が残存し,著明な左室心筋重量係数の改善や左房径の縮小は認められなかった.このことから,中等度のPPMが存在するだけであれば,術後早期および遠隔期成績にPPMが強く影響を及ぼすものではなく,むしろDHFの有無が予後により強く影響すると考えられ,PPM以上にこれらの因子を手術適応に含めて考える必要があると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2006