発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005223331
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80歳男.患者は胸部異常陰影の精査を行い,右上葉扁平上皮癌と診断された.入院時,慢性C型肝炎を指摘され,胸部X線では右上肺野に径35mm大の不整形の結節影を認めた.また,CTでは右S3に棘状および胸腺陥入像を伴う腫瘤影を認めた.肺門,縦隔リンパ節腫大,遠隔転移は認めなかったが手術を施行した.術後,感染の徴候はみられなかったが,退院2週目に突然発熱し,術創感染が確認され再入院となった.開胸創を切開して排膿したところ,皮下の感染創は骨性胸郭まで達していた.創からの浸出液の細胞培養ではメシチリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,抗生物質投与により発熱,炎症所見は改善傾向となった.だが,全身衰弱に伴い,胸部X線所見で右下肺野に浸潤影が出現し,CTで右下葉に肺炎と思われるすりガラス状陰影と右胸水を認めた.呼吸困難の訴えが強かったことから人工呼吸管理を行ない,以後,再入院から34日目に軽快退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2005