特集 壊死性軟部組織感染症-私はこうして治療した-
背部脂肪腫摘出術後に発症した壊死性軟部組織感染症の1例
前井 遥
1
,
大森 直子
,
安田 紗緒里
,
笹原 資太郎
,
秋田 新介
,
三川 信之
1成田赤十字病院 形成外科
キーワード:
Cefazolin
,
Staphylococcus aureus
,
壊死
,
脂肪腫
,
手術創感染
,
デブリードマン
,
軟部組織腫瘍
,
背部
,
ブドウ球菌感染症
,
軟部組織感染症
,
陰圧閉鎖療法
Keyword:
Soft Tissue Neoplasms
,
Surgical Wound Infection
,
Staphylococcal Infections
,
Staphylococcus aureus
,
Lipoma
,
Necrosis
,
Debridement
,
Back
,
Cefazolin
,
Soft Tissue Infections
,
Negative-Pressure Wound Therapy
pp.994-1000
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2020373438
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70歳男。悪寒、嘔気、嘔吐、背部脂肪腫摘出術後の創部痛を主訴とした。発熱と創部の疼痛・腫脹・熱感の急激な拡大を認め、壊死性軟部組織感染症(NSTI)の疑いで救急搬送された。糖尿病の既往があったが、コントロールは良好で臨床所見、血液検査および画像検査は非特異的な所見であり、手術創分類はClass Iであった。全身麻酔下に緊急手術を行ったところ、右背部と肩甲骨周囲の筋層上に15cm大のスペースがあり、棘下筋筋膜を中心として僧帽筋筋膜と一部の広背筋筋膜上で筋膜壊死を認め、NSTIに特徴的な所見を確認できた。壊死組織の切除と洗浄を行い、抗菌薬投与とデブリードマンの追加施行により次第に感染徴候の改善と発赤範囲の縮小がみられたため、洗浄機能付き局所陰圧閉鎖療法を行い、縫合のみで機能障害を残すことなく創部を閉鎖できた。
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