発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005190858
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症例1:45歳女,症例2:71歳男で,各々肺癌に合併した部分肺静脈還流異常(PAPVC)例と左上大静脈遺残(PLSVC)例であった.症例1は左下葉の腺扁平上皮癌手術時に,左上肺静脈の一部が左腕頭静脈へ還流するPAPVCを認めた.左上葉からは他に左房へ流入する肺静脈もあり,異常血管の長さも短かったため,血行再建は行わなかった.術後に術前CTを再検討すると,左上葉から左腕頭静脈へ還流するPAPVC血管が認められた.症例2は左上葉の扁平上皮癌であり,術前CTで大動脈弓の下方を通過して右上大静脈へ還流するPLSVCを認めた.手術所見も術前CTと同様であり,冠状静脈洞に還流しない交通性の右房還流型であった.血行再建は必要なく,術後経過にも問題はなかった.PLSVCは術前CTで発見しやすいが,PAPVCは術前に発見しにくい.特に,PAPVCが切除肺葉以外にある場合,術前画像診断では対側も含めた注意が必要であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2005