発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005190857
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61歳女.動悸と呼吸困難を主訴とした.左房内心房中隔から僧帽弁前尖にかけて腫瘍エコーを認め,軽度の僧帽弁狭窄,僧帽弁逆流も認めた.開胸したところ,腫瘍は左房内に広範に広がっており,迅速標本結果と併せて根治不可能と判断し,僧帽弁機能の改善を主目的とした部分切除のみで手術を終了した.病理組織学的に,腫瘍は血管肉腫と診断された.術後経過は良好で,大動脈弁輪近傍に腫瘍エコーが残存していたが,臨床的にも心不全症状は改善していた.術後3ヵ月に右側腹部痛が出現し,腹部CTで肝に高吸収域を認め,MRIでは副腎内から拡大した腫瘤が肝,右腎を圧排していた.生検で心臓血管肉腫の転移性病変であることが判明した.心エコーでは僧帽弁狭窄が進行しており,腫瘍残存エコーは増大し,左室内にも腫瘍エコーを認めた.対症療法を中心とした治療を行ったが,心不全が悪化して術後185日に死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2005