発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005190851
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63歳男.約10年前に肺腺癌で右中葉切除術を受けており,その後,定期観察となっていた.約1年前に右上葉内に異常陰影が出現し,徐々に増強した.擦過細胞診で扁平上皮癌と診断され,腹腔鏡での観察後,右後側方切開で開胸した.前回行った開胸部位に一致して,右下葉と胸壁との強固な癒着,縦隔リンパ節郭清部位から肺門・心嚢にかけての強固な癒着を認めた.また,前回処理した肺静脈切離断端近傍は,肺動脈と癒着していた.葉間の癒着は現病巣の浸潤が疑われた.心嚢一部合併切除と肺動脈の心嚢内切離により,右残存肺を摘除した.切除標本の病理組織学的所見は腺扁平上皮癌であり,前回の標本と極めて類似していた.腫瘍は,前回手術時の上・中葉間不全分葉に対する葉間形成部位に上・下葉にまたがるように発育していた.術後9年を経た再発肺癌と考えられた.術後19ヵ月を経て,脳転移・副腎転移を認めるが,生存中である
©Nankodo Co., Ltd., 2005