発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005130140
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70歳女.体重減少を主訴とした.胸部X線で右上肺野に径2cm大のほぼ境界明瞭な腫瘤陰影を,下部消化管造影でS字結腸に約6cmにわたりapple-core-signを認めた.胸部CTで右上葉S3に境界明瞭な径20×20mmの腫瘤陰影を,右下葉S8に径3mmのすりガラス状陰影を呈する結節影を認めた.S状結腸腫瘍は大腸内視鏡検査の生検にてclass Vの腺癌と診断され,肺転移を伴ったS状結腸癌と診断した.最初にS状結腸切除術を行い,二期目手術として右上葉切除+右下葉部分切除を施行した.病理組織学的に,S状結腸は中分化型腺癌で,主に篩状構造を呈して増生し,S3転移性肺癌は大腸癌原発巣類似の腫瘍細胞が浸潤・増生していた.S8原発性肺癌は腺癌で,肺胞壁に沿って肺胞上皮細胞由来の腫瘍細胞が肺胞上皮を置換するように増生していた.術後経過は良好で,化学療法を施行後退院となり,現在経過観察中である
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