発行日 2016年3月20日
Published Date 2016/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016236015
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症例は40歳代,女性.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に約10mmの粘膜下腫瘍様の病変を認めた.インジゴカルミン散布では頂部に陥凹を認めたが周囲は正常粘膜で被覆されていた.粘膜下腫瘍様の形態を呈しており,肉眼形態はいわゆる広義の0-Is+IIcと診断した.NBI拡大観察では陥凹部はirregular patternを呈していた.クリスタルバイオレット染色後の拡大観察では陥凹部でVI型高度不整pit patternを認めた.超拡大内視鏡観察では,腺腔は不整形で核は濃染しやや腫大しており,EC3aと診断した.以上より,本症例は粘膜下層深部以深の浸潤癌と診断した.さらに上述の病変の約16cm肛門側のS状結腸に13mm大の0-IIa+IIc病変を認め,粘膜下層深部浸潤癌と診断した.各々は独立した病変と考え,2病変併せて腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.病理所見は,10×10mm,Type 0-Is+IIc,adenocarcinoma(tub1>tub2),pT3(v)-MP,med,INFa,ly0,v1(VB),pN3(9/27),肛門側の病変は13×10mm,Type 0-IIa+IIc,adenocarcinoma(tub2),pT1b,sm3(SM 6,000μm),med,INFa,ly0,v1(VB)であった.粘膜下腫瘍様の形態を呈する大腸癌において詳細な拡大内視鏡所見と病理所見の対比が可能であった症例はきわめてまれであり,報告をする.
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