発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051668
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胸膜肺摘除術後の胸腔内血腫遺残による発熱や感染のため再開胸血腫除去術を要した症例について検討した.症例1(57歳男).胸部CTにて左肺内血腫と血性胸水を認め,増大する血腫と呼吸状態悪化に対して緊急手術を行った.症例2(53歳男).症例3(66歳男).上皮型悪性胸膜中皮腫の診断にて施術した.3例には胸膜肺摘除術と広背筋弁による気管支断端被覆を行ったが,術後に熱発とCRP上昇を認め,各々術後30,29,17日に再開胸血腫除去術を施行した.また,多剤耐性表皮ブドウ球菌が検出された症例1と3ではvancomycin hydrochlorideを投与したところ,全例でCRP低下と解熱,貧血及び全身状態の改善がみられ,経過は良好であった.胸膜肺摘除術後の胸腔内血腫残存は膿胸の危険性を増大させ,将来の抗癌薬胸腔内注入療法においても有害であり,術後早期の計画的血腫除去術は考慮すべき方法であると考えた.また,有茎広背筋弁による気管支断端被覆は気管支瘻予防に有用であった
©Nankodo Co., Ltd., 2004