発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211514
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54歳男.1ヵ月前から左側腹部痛が出現し,3~4日前から39℃を超える発熱を認めた.WBC15000/μl,CRP15.3mg/dlと高度の炎症反応を認めた.造影CTにより横隔膜レベルの胸腹部大動脈に最大横径6cmの大動脈瘤を認め,感染性大動脈瘤の疑いで緊急入院した.入院時の血液培養でコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が検出された.造影CTでTh6から腹腔動脈分岐部レベルに胸腹部大動脈瘤を認め,最大径69×60mmであった.発熱,高度炎症反応のあること,CT所見より感染性胸腹部大動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.動脈瘤壁を可及的に切除し,周囲を十分デブリドマンおよび洗浄し,直径20mmのゼルシールグラフトを用いて人工血管置換術を行った.病理組織所見では動脈瘤壁の中膜に好中球を主体とする炎症細胞の集簇(膿瘍)を認め,感染性大動脈瘤と診断された.術後5時間で抜管し,以後経過は順調であった.術後発熱はなくなり,CRPは徐々に低下し,術後30日より抗生物質を注射剤から内服に切り替えた.CTにて感染のないことを確認し,術後40日に軽快退院した.術後7ヵ月の現在,感染の再燃なく職場復帰している
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