発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004219876
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62歳男.広範囲胆管癌の診断で,肝門部胆管切除,亜全胃温存膵頭十二指腸切除,右冠動脈合併切除を施行した.術中心電図上II,III,aVF,V3-6に最大3.6mmのST低下を認めた.その後安静時胸痛が出現したため冠状動脈造影を施行し不安定狭心症の診断となりCABGの適応となった.剣状突起下端から2cm左下方に瘻腔があり,膵液瘻となっていた.膵液瘻より多剤耐性型のStenotrophomonas maltophiliaとStaphylococcus aureusが多数検出された.感染性膵液瘻が正中に存在するため,胸骨縦切開では縦隔炎のリスクが高いと考え,左側開胸アプローチとした.右側臥位にて分離気管内挿管による全身麻酔下に左第5肋間で開胸した.左内胸動脈を採取した.同時に左大腿部より大伏在静脈を採取した.心尖部リトラクターにて心尖部を吸引し,冠状動脈シャントチューブを用いて8-0プロリン連続にてSVGを#4AV-3に吻合した.術当夜に抜管した.経過良好で胸部症状もなくCRPも陰性化し,感染性膵液瘻治療の目的で転科した.術後CAG所見でグラフトはすべて開存していた.左室壁運動に問題はなく,MRは認めなかった
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