発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007262346
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症例は高血圧(最高血圧:180mmHg以上)を放置していた70歳男性で、突然の左胸背部激痛を自覚し、ショック状態を呈した。胸部X線で、左上肺野に巨大な陰影を認めた。胸部CTで、左上縦隔に著明な血腫、下行大動脈に壁の肥厚を認めた。造影剤を注入すると、3分後のCTで、造影剤の壁内への流入がみられた。B型大動脈壁内血腫(IMH)と考えられ、手術を行った。正中切開したところ、弓部大動脈・近位下行大動脈内膜に異常はみられなかった。経食道心エコー(TEE)では、遠位弓部大動脈壁内にecho free spaceを認めた。上行-全弓部大動脈人工血管置換術、open-stent法による近位下行大動脈内ステント留置を行った。術後、エンドリークは認められず、概ね良好に経過した。この症例は、高血圧を伴う大動脈潰瘍穿孔が原因でIMHを発症したと考えられた。また、TEEは大動脈壁内の血腫の観察、ステント留置位置の確認に有用であると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007