発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004140239
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71歳男.全身倦怠を主訴とした.2年前より心房細動,高血圧,糖尿病にて加療中であり,今回,突然の胸痛と呼吸困難にて救急搬送された.心電図では心房細動,完全右脚ブロックを,胸部X線像では両側肺うっ血を認め,緊急冠状動脈造影にて左回旋枝鈍縁枝は途絶して閉塞部は血栓閉塞様所見を呈した.血栓溶解療法と経皮的冠状動脈形成術にて発症早期に再開通したが,左室後側壁の一部で壁運動低下とII度の僧帽弁逆流を認めた.保存的に心不全の管理を行ったが,心不全状態の遷延化と僧帽弁閉鎖不全の増強のため,胸骨下部部分切開下に僧帽弁形成術,modified maze手術を施行した.術中経食道心エコーにて僧帽弁前尖の軽度逸脱とIII度の逆流を認めたが,術後は僧帽弁逆流を認めず,心不全症状は改善した.本症例は心房細動による鈍縁枝血栓閉塞症から冠状動脈塞栓症,虚血性僧帽弁閉鎖不全をきたした稀な症例であった
©Nankodo Co., Ltd., 2004