特集 達人に学ぶ小児の発熱・皮膚疾患
小児の発熱診療
風邪と診断するための病歴・身体診察
伊原 崇晃
1
1兵庫県立尼崎総合医療センター 小児科
pp.442-446
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023040003
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
小児の発熱の代名詞といえば風邪かもしれない.しかしながら,風邪の診断というのは思いのほか厄介なものである.風邪とは鼻閉や鼻汁,咳嗽,咽頭痛などを生じる上気道のウイルス感染で自然軽快するものである.風邪の原因となるさまざまなウイルスの症状は多岐にわたり,重複しているため,個々の患者の原因ウイルスを臨床的に特定することはきわめて困難である1).もちろん世の中に例外はつきもので,ごく一部の達人はこれらを見きわめる匠の技をもっているかもしれない.しかし,その特殊な例をもって一般化することは難しく,そのような技術は容易に言語化できない類のものであろう.
Copyright© 2023 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.