特集 達人に学ぶ小児の発熱・皮膚疾患
小児の発熱診療
発熱診療の鉄則
鉄原 健一
1
1福岡市立こども病院 集中治療科
pp.438-441
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023040002
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はじめに
小児は発熱で受診することが多く,そのほとんどは“風邪”(急性上気道炎)である.ただ,“結果的”に風邪が多いのであって,初診時に風邪を診断することは難しい.たとえ最初が風邪であっても,経過中に中耳炎や肺炎を合併することや,風邪が心筋炎の先行感染のこともある.風邪は治らないと診断できない疾患である.小児科の成書であるNelson Textbook of Pediatricsのcommon coldの項には“風邪を診るときに一番大事なことは重症(serious)な状態や治せる状態を除外することである”1)と,風邪は除外診断であることが記載されている.また,seriousな状態の除外とあるが,発熱,いや,小児に限らず外来ではまずは“緊急度”の評価と介入が最優先事項である.緊急度が高い小児は少ない.ゆえに,「前の患者まで30人連続軽症だったから,次も軽症でしょ」のような利用可能性バイアスによって緊急ではないと思い込みやすい.意識して緊急度を評価しにいく必要がある.
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