日本老年看護学会第13回学術集会特集 シンポジウム
食のベストプラクティスを求めて
田中 靖代
1
1ナーシングホーム気の里
pp.35-39
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
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- 文献概要
はじめに
私は長年,食の課題と向き合い,ベストプラクティスを求め続けてきた.それは,専門職の姿勢として当然であるが,その過程には,いつの場合も驚きと感動が添えられ,私の看護を支える要となった.とは言え,私の経験的な発想だけでは,人を動かす説得力はない.それだけに看護技術を共有し,発展させるにも限界を感じることがあった.そんな葛藤の最中に,摂食・嚥下リハビリテーション学会が誕生した.私からすれば,20年も経過してからのことである.それ故,研究者の報告は,いちいち納得でき,いろんな場面を重なり観る思いであった.しかし,「目から鱗」である.私の20年は何だったのか.少し情けない気持ちにもなった.それでも,有り難いことに私は,他職種による研究成果から多くのエビデンスや示唆をいただき,これで患者に安心して関われると思えた.私は,これまで以上にのめり込んだ.そのことは後述するとして,私のベストプラクティスはこの過程に育まれていったように思われる.
ところで看護職は,個人的な治療展開に参加するだけでなく治療効果を患者の家族やとりまく社会環境等々に融合させ,患者の生活を再構築する調整役である.したがって,看護は広く社会の中で利用していただけるはずである.しかし私は,この部分の社会認識にも若干の物足りなさを感じている.ここでは,社会に通ずる食のベストプラクティスについて私見を述べたいと思う.
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