日本老年看護学会第13回学術集会特集 シンポジウム
実践現場におけるベストプラクティスの試み─食と排泄を通して
天津 栄子
1
,
須釜 淳子
2
1石川県立看護大学
2金沢大学医薬保健研究域保健学系
pp.28-29
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
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- 文献概要
高齢者に限らず,人間の日々の暮らしにおいて食と排泄は生命活動の源であり,基本的ニーズの要である.高齢者が加齢現象とともに複数の慢性疾患や急性期医療などが引き金になり“食べる”ことや“排泄する”という当たり前の日常生活機能に不自由さや機能障害をきたすことは,当事者にとってきわめて深刻な問題である.同時に,それは人間の尊厳やQOLを脅かすことにもなりかねない.高齢者の摂食・嚥下障害の多くは老化による嚥下機能の低下や脳血管障害であり,誤嚥性肺炎のリスク回避を考慮した経腸栄養が必要となることが多い.しかし最近は,重度の摂食・嚥下障害においても口から食べる看護介入のプロトコールが開発され,機能障害の回復可能性をめざす最善の看護実践つまりベストプラクティスの効果が報告されている.また高齢者の排泄障害においても加齢や脳血管障害,認知機能の低下などによる排尿・排便の不自由さは身体的のみならず心理的,社会的な日常生活に及ぼす影響は高齢者・家族にとって想像以上に大きい.長期にわたる食と排泄へのベストプラクティスは,そのスタートからデイケア,在宅へと途切れることなく継続できることが重要であり,その連携・調整技術もベストプラクティスの成否に影響を与える.
今回のシンポジウムは4人のシンポジストをお迎えし,多様なケア現場で食と排泄へのベストプラクティスを先駆的かつ挑戦的に取り組んでおられる実践とその効果についてご報告いただいた.
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