日本老年看護学会第13回学術集会特集 シンポジウム
高齢者の排泄障害に対するベストプラクティス
梶原 敦子
1
1東京総合保健福祉センター江古田の森
pp.45-51
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
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はじめに
加齢とともに排泄障害を抱える高齢者は増加する.排泄障害の多くは命に直接関わることは少ないが,本人の“生活のしにくさ”や“自尊心の低下”ひいては“生きる意欲の低下”につながり,介護者にとっては介護負担の増大といった問題を引き起こしやすい.
こういった排泄障害に,適切な医療・看護・介護が提供されているかというと必ずしもそうとは言いがたい.ケアの専門職は適切に関わりたいと悩みつつも従来の後始末的な後追いのケアの提供に留まっていることも多い.
また,排泄障害を抱える本人や家族は「年だから,この病気になったらこうなるのは(排泄障害が起こるのは)仕方がない」などとあきらめていたり,医療につながることを好まないことも多い.その理由は,排泄障害の多くが治療とケアのコラボレーションによって治癒もしくは改善できることを知らなかったり,経済的な問題があったり,介護する側と介護される側の人間関係が関与していたりと複雑な背景があるからで,単純に医療につながれば解決できるとは言い切れない現状がある.
そこで,こういった現状を踏まえ,高齢者の排泄障害のベストプラクティスはいかにあるべきかを私が現在担当している“コンチネンスケア外来”や高齢者施設における利用者への排泄障害への関わりを通して考えてみたい.
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